4万円残ったのに・・・

孫と水辺で2

from 杉本

「あなた! あゆみが100円玉、飲み込んだ!」
電話の向こうで、妻が怒鳴っています。

3女のあゆみが、3歳になる頃だったと思います。

彼女は食べることが大好きで、
その頃、何でも口に入れるくせがありました。

100円玉を、
口に入れて、
感触を楽しんでいたようですが、

突然、目を白黒させて、
苦しみ始めたのです。

「今、先生がね、のぞいてる!」
妻があわてているので、良く様子がつかめません。

救急車で、
病院に運ばれて、
最初は、先生があゆみの口をのぞいて、
100円玉を取ろうとしたらしいのです。

しかし、先生が、「あっ!」と叫んだかと思うと、
「えらいこっちゃ! 奥に入ってしもた!」と言うのです。

今度は、
全身麻酔をして、
内視鏡を胃に突っ込んで、

内視鏡の真ん中に開いている穴から、
マジックハンドみたいなものを通して、
100円玉を取るとのこと。

先生と妻の、手術室での会話。

先生があゆみの胃を、
内視鏡で覗き込みながら、

「お母さん、この子、100円玉飲み込む前に、
何か食べました?」

「はい、牛乳をたらふく・・・・」

「そら全然見えへんはずやな。」

ナースが、「先生、大丈夫?」と心配そうに尋ねると、

「もうちょっと探して、
見つからんかったら、開腹する。」

妻は、先生の恐ろしい独り言を聞いて、
気を失いそうです。

1時間以上立って、
もう無理か、と思う頃に、
「取れた! 取れた!」と先生。

周りのナースが「奇跡や!奇跡や!」と全員で大拍手。

先生から100円玉を返してもらって、
請求された金額が4万円。

実は、私たちは、
結婚してから、家計はずっと赤字基調で来ていました。

しかし、月末に、始めてお金が4万円残っていたのです。

私は、あわてて帰って来て、妻からそのことを聞いたとき、
本当にがっかりし、
あゆみに恨みの気持ちを抱きました。

私は、「なんで、100円玉なんか飲み込むんや!」と、
怒りを込めて、つぶやきました。

すると、妻が私に言うのです。

「4万円残ってたから、
誰にも借金しなくて済んだって考えたら?」

そのとき、はっと気がつきました。

私は、悲観的に、
妻は、肯定的に物事をとらえていたのです。

妻のセルフ・イメージの方が、
はるかに健全でした。

実際、妻の方が、
毎日幸せそうに過ごしていたのです。

大げさに聞こえるかも知れませんが、
私は、彼女の気持ちの持ち方を、
見習おうと、そのとき決心しました。

「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」と
相田みつをさんが、言っています。

今、私は幸せです。

改めて、妻に感謝する、今日この頃です。

育自コンサルタント
−自分を育てるお手伝い−

杉本恵洋(すぎもと しげひろ)

PS.
健全なセルフイメージを持つためには、
このプログラムが役立ちます。
http://www.0stresslife.com/zrl/

4 thoughts on “4万円残ったのに・・・

  1. 人生で消化できないものが多すぎます。金銭で人の命は変えないという箴言はおおいに学ぶべきです。

  2. きっと奥様はいくら払っても、お嬢さんが無事であったことが一番うれしかったのだと思います。

  3. 人生って、十人十色の、「ドラマ」ですよね。
    奥様、そしてご主人様は、これからの人生、「明るい人生」が、待っていることでしょう。

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