ドレスを買ってあげたのに・・・

from 杉本

随分昔のことですが、
6週間のアメリカ出張で、
娘たち4人に、お土産と思って、
奇麗な、よそ行きのドレスを、
何着も買って帰りました。

ところが、お礼の言葉はもらったものの、
いっこうに、それを着ている様子がありません。

いつまで経っても、
値札がついたまま、吊ってあります。

私はがっかりしたと同時に、
せっかく買ってきたのに、
なぜ着ないのだと、憤慨もしました。

妻は私の気持ちを、察したらしく、
「子供たちはドレスよりも、
普段着る、カジュアルなものが欲しかったみたい」、
と言ってくれました。

少し冷静さを取り戻したとき、
子供たちのドレスに関連して、
先日お亡くなりになった、
スティーブン・R・コヴィー博士の有名な著作の、
「7つの習慣」の言葉の1つを、思い出しました。
それは、「信頼残高」という言葉です。

信頼残高とは、
ある人間関係における、
信頼の度合いを表す、比喩表現です。

信頼残高にも、
「預け入れ」と「引き出し」があります。

「預け入れ」は、人間関係において、
信頼を築くことや、修復することであり、
「引き出し」は、信頼を失う、
もしくは低下させることです。

次に挙げることは、
あなたにとって、
「預け入れ」になるのでしょうか?
それとも、
「引き出し」になるのでしょうか?
または、「どちらでもない」のでしょうか?

1. 仕事の進捗を聞きたいからと言って、ファーストフード店に誘われた。
2. ずっと残業だから、気晴らしにと言って、オペラのチケットをくれた。

いかがですか?
ある人は、ちょっと気分を変えるために、
外に出て話ができたということで、
ファーストフードでのミーティングを、
喜ぶかも知れませんが、

別の人は、どうせ誘うのだったら、
もうちょっとましな所にと、思うかも知れません。

オペラのチケットをもらって、
自分に関心を持ってくれて、
ありがたいと思う人も入れば、
自分の好きな趣味を、
押し付けてもらいたくないと、思う人もいます。

自分は「預け入れ」だと思っても、
相手はそう思わなければ、
何にもなりません。

相手が「預け入れ」だと、
思ってもらうことが、
本当の「預け入れ」になります。

本当の預け入れをするために、
しなければならないことは何でしょうか?

それは、相手の話を聴くことです。
相手を知ることがまず必要です。

相手を知って、相手が大切に思うものを、
尊重してあげることが大事です。

一般的に、私たちは、
自分のパラダイム(ものの見方、考え方)を通して、
他人の行動を解釈します。

これはきっと相手に喜んでもらえると
思い込んで、それを行なってみます。

ところが、その努力を、
預け入れとして認めてもらえないとき、
自分の善意が拒否されたと感じ、
預け入れの努力をやめてしまいます。

私は、こんな奇麗なドレスだったら、
娘たちは、きっと喜ぶに違いないと、
勝手に思い込んだのです。

もっと、彼女たちが今、
どんなものが欲しいのか
コミュニケーションを取っているべきでした。

娘たちに、もっと信頼される、
もっと愛されようと、
新たな決意ができて、
心から感謝する経験でした。

育自コンサルタント
−自分を育てるお手伝い−

杉本恵洋(すぎもと しげひろ)

PS.
私の恩師でもあるコヴィー博士の
最後の著書。あなたもぜひ、読んでみて下さい。

http://www.nextleader.jp/the7habits/freebook/

4 thoughts on “ドレスを買ってあげたのに・・・

  1. 相手自身でさえ気づいていない望みを叶えることができれば、その人に変化が訪れるかもしれません。私のように…。これには、信頼通帳からあふれでるばかりの信頼が貯えられているのだから(笑)

  2. お世話になります
    私がまだ小学生の頃に「母の日」に初めてプレゼントをしようと
    財布を買いました
    その時私は朝刊に新聞配達をしていた
    その当時は裕福ではありませんでしたが、貧乏という意識はなかった
    母は朝から晩までパイン工場で働き、家事もよくしていた
    こども心にも母の苦労はよく知ってるいるつもりだった
    母は財布を持ってなく、いつもビニール袋にお金を入れていた
    それで母が喜ぶと思って財布を買ってあげたのですが
    母の一言は私にはその当時はショックだった
    「入れるお金もないのに財布もってどうするんだ」でした
    母は財布を使うことなく相変わらずビニール袋にお金をいれていた
    でも、後から考えると母の言うとおりだと思う
    自分勝手な考えで、相手が喜ぶと思ってた自分を改めさせた
    社会人になってこの経験は、相手が本当必要なのもは何かとか
    押し付けになってないか、高飛車になってないかなど考えるようになった
    よく聞くのは、せっかくしてあげたのにとか、人の気も知らないでとかの言葉は
    相手のことをよく知ってないと思う

  3. 相手に良かれと思ってしたことが、受け入れられないで”憤慨する”。日頃、よく見聞きします。期待や見返りを、手放してしまえばいいのに。。。他人ごとだと、そう思います。
    翻って、自分だと…。

  4. 御注文頂いたお客様に、本日の入荷が無くなる事情をごうしてもご説明したくて、何度も電話をしてしまった。先方からは、「こんなに馬鹿みたいに着歴入れて、1回着歴があれば、折り返すのに」といって激怒されてしまった。一刻も早く、伝えたかった思いが、伝わらずとても悲しかった。どうしてこんなに何度も連絡入れたんだろうかと、私なら相手の事を考えてみるのにと思った。やさしさの押し売りとよくいわれるが、それぞれの思いを汲み取れる寛大さを持った人間になりたい。

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