ぼくは海賊なんだ

孫と水辺で2

from杉本

今日は、私の大好きな実話をお伝えしようと思います。

「ある日、スミス夫人が、
病院の待合室で順番を待っていると、
小さな男の子と、その母親が入ってきた。

男の子は、片方の目に眼帯をしている。

母親のあとから、
椅子の方へと歩いていくその子の姿を、
夫人は驚きをもって眺めた。

少年は、片目を失ったことなど、
まったく気にしていない様子なのである。

その日は、病院がひどく混んでいたため、
スミス夫人は、その親子とおしゃべりを
することができた。

夫人は、1人で黙々と、
おもちゃの兵隊で遊んでいる男の子に、話しかけた。

『その目はどうしたの?』

少年はしばらく考えてから、
眼帯を持ち上げてみせ、こう答えた。

『なんでもないよ。僕は海賊なんだ!』

そして、遊びに戻った。

スミス夫人は、交通事故で、
片足の膝から下を失ったために、
この病院で治療を受けていた。

その傷は、そろそろ、
義足をつけられる状態にまで、
回復しつつあったが、
夫人の心は、打ちのめされたままだった。

頭では、片足の膝から下がなくても、
>普通の生活が送れることはわかっていたが、
どうしても、心の痛手から、
立ち直ることができなかったのだ。

医師には、健康で幸福な自分のイメージを、
心に描く心理療法を勧められた。

夫人はそれを試してみたものの、
心から受け入れられるような、
自分のイメージを描くことなど、
とうてい不可能だった。

自分を障害者としか、
見ることができなかったのである。

ところが、少年の「僕は海賊なんだ!」
の一言がスミス夫人を変えた。

一瞬のうちに、
彼女の心は、時空のかなたへと飛んでいった。

婦人は、ロング・ジョン・シルバー・スティーブンソンの、
『宝島』に出てくる、義足の海賊の装束を身にまとい、
海賊船の上に立つ自分の姿をはっきりと見た。

彼女は、両足を大きく広げ、
そこに、立ちはだかっていた。
片方の足は義足だ。

両手を腰にあてがい、
頭を上げ、肩をいからせ、
嵐に向かって笑っている。

疾風が、髪やコートをはためかせ、
船体をたたきつける怒涛が、欄干を越えて
冷たいしぶきとなって、吹き上がる。

すさまじい嵐に、海賊船は揺さぶられ、
うめき声をあげる。

それでも彼女は、臆することなく、
胸を張り、しっかりと足を踏みしめ立っていた。

このとき、障害者のイメージは消え去った。
勇気が戻ってきたのである。

スミス夫人が視線を戻すと、
少年は、まだ忙しそうに兵隊で遊んでいた。

数分後、スミス夫人の名前が呼ばれた。

松葉杖をついて夫人が立ち上がると、
その脚を見て、男の子が尋ねた。

『おばさんの脚、どうしたの?』

少年の母親は困った顔をした。

スミス夫人は、短くなった自分の脚に目を落とすと、
すぐに顔を上げ、にっこり笑って答えた。

『なんでもないの。おばさんも海賊なのよ』」

マジョリー・ワレー
『大切な人 大切なこと』

私たちは、自分のセルフイメージを強化するために、
イメージトレーニングを行ないますが、
スミス夫人のように、ポジティブなイメージを
描くことができない時があります。

そんな時は、彼女のように、
誰か自分の模範になる人を見つけることです。

ポジティブなイメージをすでに心に描いて、
前向きに生きている人を探すのです。

そんな人に会っているだけで、
ポジティブなセルフイメージを、
持つことができるようになる時もあります。

スミス夫人のように。

育自コンサルタント
−自分を育てるお手伝い−

杉本恵洋(すぎもと しげひろ)

PS.
ポジティブなセルフイメージを持つためには
このプログラムも試してみる価値があります。
http://www.0stresslife.com/zrl/

One thought on “ぼくは海賊なんだ

  1. いつも読ませて頂いてますが、今回は特に心に響きました。
    私は数年前、ストレスなどから難聴をわずらってしまい、この先の仕事や生活に
    対して常に不安を感じる日々を過ごしてました。
    その不安自体もストレスになってはいけないと、聞こえが悪いくらいたいしたこと
    ないと言い聞かせたりもしてますが、やっぱり根本の不安は消えません。

    が、今回の記事でヒントが見つかりました!
    私も「海賊」をみつけて、よいセルフイメージをみにつけていこうと思います。

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