「家族でアメリカ横断旅行」

アメリカ横断旅行

FROM 杉本恵洋

「カッツン」という音がして、
車が止まりました。

ここは、アメリカとカナダの国境の橋です。

私たち家族は、20日以上かけて、
車でアメリカを、東から西に、
横断する旅に出かけました。

スタートは、アメリカとカナダの国境にある、
「ナイアガラの滝」からです。

小さいほうの、アメリカ滝を見てから、
いつもポスターとかで見るほうの、
壮大な、カナダ側の滝を見るために、
橋を渡りました。

そして、カナダ滝を見て、アメリカ側に戻るときに、
その事故が起こりました。

橋の向こうで、簡単な検問があるため、
車が渋滞していました。

真ん中あたりで、車がのろのろ動いているので、
つい、滝を2〜3秒見ていたときに、
前の車が、止まりました。

私は、滝を見ていたため、一瞬ブレーキを踏むのが遅くなり、
相手の後部のナンバープレートと、
私の車の前のナンバープレート同士が接触してしまいました。

車から降りて来た男性は、
とても怒っています。

「どこを見て、運転してるんだ!」

2人で、彼の車を見ましたが、
ナンバープレートに、
私が借りたレンタカーの、
ナンバープレートをとめているボルトの形が、
2つ、ついています。

接触したのは、私ですから、
具体的にどのような責任をとれば良いのか、
話を進めたかったのですが、

「ぶつかったとき、すごいショックを感じたぞ!」
「新車に傷をよくもつけてくれたな!」と、

彼は、激しい勢いが止まりません。

そこで私は、しばらくの間、
彼の怒りの言葉に耳を傾けることにしました。

彼がどんな気持ちでいるかは、
十分理解できました。

彼の怒りや、せっかく楽しんでいた気分を、
ぶちこわされた悔しさなど、そのことについては、
本当に、申し訳ないと思いました。

「せっかく、楽しいひとときを過ごしていらっしゃったのに、
私の不注意で、それを壊してしまいました。」
「新車を傷つけたことについても、申し訳ありません」と
私は、彼に、心から謝りました。

すると、彼の態度が変化し始めました。

私が彼の感じている一つ一つの憤りに関して、
一つずつ、申し訳ない気持ちを伝え続けると、

「まあ、私も怒りすぎたかな。」とか、
「ボルトのあと以外には、どこも傷ついてないみたいだ。」
「身体も、別に異常もなさそうだし。」
「君も、家族で遠い所から来て、大変だな〜。」などと、
逆に、私を慰めてくれるようになりました。

そうしているうちに、
アメリカ側に近かったので、
アメリカの警官がやって来て、
事情聴取を受けました。

警官は「まあ、せいぜい400ドルぐらいまでかな。」と
相手に、私のクレジットカード番号を書いたメモを渡して、言います。

「お帰りになったら、是非車を点検に出して、
私のクレジットカードで清算してください。」
と、私は彼に最後に伝えました。

その後、別れ際に、
「これから始まる大陸横断旅行を、
無事に楽しんで過ごせるように祈っているよ」
彼は言ってくれました。

妻と、子供たちにも、優しくあいさつをして、去っていきました。

この経験で私が学んだことは、
相手が怒ったりしているときにでも、
相手と穏やかに、建設的に話を進めたかったら、

まず、相手の感情を共有することが大切だということでした。

それは、相手の怒りや感じている不満に、
すべて賛成することではありませんが、

相手の怒りや、悔しさを相手の立場に立って、
一緒に感じることで、
相手は、理解されたと感じて、
心が穏やかになっていくということでした。

相手の気持ちが穏やかになって初めて、
本来するべき、前向きな話し合いができることも学びました。

相手の感情を知ろうとする事で、
相手もこちらの気持ちを分かろうとしてくれます。
これが人間関係のカギではないでしょうか?

あなたも、同じような経験がありましたら、
教えて下さいませんか?

育自コンサルタント
−自分を育てるお手伝い−

杉本恵洋(すぎもと しげひろ)

PS:このプログラムでも相手の感情を共有することが学べます。
http://www.0stresslife.com/zrl/

5 thoughts on “「家族でアメリカ横断旅行」

  1. 昨年から一緒に仕事をしている友達は、たいてい怒っています。仕事と育児と家事で疲れているから、なんでもかんでもイライラの元になるんでしょうね。私と顔を合わせると、「自分が何に怒っているか」を延々と聴くこととなります。正直、辟易なのですが、彼女のネガティブな話に私の感情を自動反応させない。”私の状態は私が決める”と自分軸を持って、彼女の話をただひたすら聴くことにしました。
    彼女と顔を合わせる前には、自分の気分を良くする。それも、自分で決めました。
    そしたら、この頃、ちょっと変化が。彼女が穏やかになったような…。気のせいかもしれませんが(笑)

    感情を共有する。次は、人生のパートナーと感情を共有し穏やかな日々を実現したいです。

  2. ァア、まさにリアルに眼に浮かぶ様です。今その様に、自然に心が動きます。
    そうでない方に出くわすと、気の毒に思えます。その方に愛情を感じれば、そうでない時もありますが、、。

  3. 私は10年ほど電話応対の仕事をしていましたが、電話応対で一番大切だと教育されたのは「お客様の感情に共感する」ことでした。それが出来れば、大抵のお客様はこちらの対応に納得して下さいました。今回のお話を拝見して、自分を含めて、人は常に自分を理解してほしい生き物だということを実感しました。

  4. 杉本さんのことばには、いつも同調させられます。誠意のあるお人柄を感じてファンになりました。もともと敬意をもって読ませていただいてましたが、今回あらたに確信したのは、益々こころからファンになれそうだということです。実際に経験されたことでの学びをお話しくださり有難うございます。

  5. 相手の立場にたって、気持ちを共有すれば、敵を作ることは無い!!
    むしろみんなが味方になって、笑顔が増える!!
    大切なことですよね☆

    本日も学びをありがとうございます(^-^)/

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