中国大返し

大阪城天守閣

天正10年6月2日の早朝。

後に日本史史上、最も大きな事件の1つ
とまで言われることになる
大事件が発生します。


本能寺の変。

尾張の1家老に過ぎなかった織田家を
その卓越した手腕で全国勢力に押し上げ、
戦国の世に勇名を轟かせた織田信長。

信長は天下統一目前というところで
重臣・明智光秀の予想外の襲撃に遭い
志半ばでその生涯を閉じることになります。

しかし、いつの世も権力者の死が
ただの事件で終わることはありません。

関係者は事件の後、どう動いたかで
その後の明暗を分けることになりました。

6月3日未明、
備中高松(今の岡山県のあたり)で
中国地方の勇・毛利氏と未だ交戦中の秀吉は
この報せを受け光秀討伐の決断をします。


中国大返し

翌6月4日、
秀吉は信長の死を隠したまま、
毛利方と講和を有利に取りまとめ、
その日のうちに撤兵を開始します。

6月7日、
秀吉は4万とも言われる大軍にも関わらず
わずか3日で備中高松から姫路までの92kmを踏破し
光秀のいる京都を視界に収めます。

姫路城に着き、毛利の追撃の心配がなくなると
秀吉は情報戦を開始し、様子見を決め込んでいる
近畿地方の諸将を味方に引き入れていきます。

6月10日、
ようやく光秀は「秀吉迫る」の報せを受け
慌てて迎撃の準備を始めますがとき既に遅し。
周辺勢力は秀吉側についた後でした。

6月12日
秀吉は大坂に到着。
翌日、光秀の軍と大坂と京都の県境で対峙し
圧倒的な戦力差を以て光秀軍を破ります。

そして、この勝利によって
秀吉は信長の後継者の座を手中に収めたのです。


勝敗を分けたのは

秀吉も光秀も当時の信長配下の中でも
1,2を争うくらいに
有能な武将とされています。

にも関わらす秀吉が一方的に
光秀に勝利できた最大の要因は
いくつかの運が味方したものの
その行動の速さにあります。

わずか10日ほどで中国地方から
大坂まで引き返した武将は
秀吉を置いて他にいません。

さらにただ行軍するだけでなく
その時間を使って情報戦によって
光秀を孤立無援の状況に追い込んでいます。

光秀もある程度は信長配下の
有力武将による反撃を予想していたものの
秀吉はそれをさらに上回る驚異的なスピードで
まさに”想定外”のことをやってのけたのです。

事実、秀吉の進軍があと数日遅れていれば
近畿地方の有力者は光秀側に傾き
秀吉がこうも一方的に勝利することはなかった
とも言われています。


スピード

光秀討伐に動いた武将は秀吉だけではありません。
他の武将も動くには動いたのです。

しかし、秀吉は他の武将と違い
彼らが光秀討伐の準備をしている間に
光秀を討ち取ってしまいました。

その結果、彼ら有力武将が
その後の権力争いで主導権を握ることは
ありませんでした。

秀吉は優先順位の最も高いことが
戦の準備ではなく一刻も早く行動し
自分に有利な状況を作り出すこと
ということを理解していたのです。

そしてスピードを持ってそれ実行したのです。

成功するリーダーはときに何かを成し遂げるため
たとえ、準備が完全にできていなくても。
優先順位を見極め迅速に行動することが必要です。

もちろん、時間に余裕があるときは
失敗の可能性を下げるために
入念に準備をすることも重要です。

しかし、緊急を要するときは
決断し、速やかに行動することこそが
最優先事項となることもあります。

優先事項は何か?

普段の仕事の中で優先事項を意識して
決断し、スピードをもって
アクションができているでしょうか?

ときには優先事項を意識してみるのも
いいかもしれませんね。

ー森兼

12 thoughts on “中国大返し

  1. でも、その後がいけませんね
    後継者を育成していなかった
    秀次という有望な跡継ぎを殺してしまう
    この時代、信長親子、家康の正妻と嫡男、武田勝頼、明智光秀、石田三成などという、優れた人材が失われました
    柴田勝家、信長の妹市、淀君(茶々)、秀頼なんかも失われています
    こういう逸材を集結させれば、日本はもっと西洋に伍して行けたはず
    考えたら勿体ないですね
    幕末でも、同じように有能な人材が消えていっています
    勿体ないことだと感じます
    これからの世の中も、そうかも知れません
    つまり、愚民や必要のない存在は残るのに、有能な人材は次々と消えていく
    これで果たしていいのだろうか?
    日本では現在、特に顕著に表れていますし、このままでは、質の低下は凄まじいものになってくるでしょう
    今回の震災は、いわば贈り物かも知れません
    更に、滅亡こそが、人類に対しての贈り物かも知れませんね

  2. スピードにもいくつかありますね、
    今やるべき仕事を後回しにしてしまうとか
    思いついたアイデアを実行するまでの行動の早さとか
    いずれにしてもスピード感のある人が仕事を有利に進めるのは
    間違いないですね。

    最終的には家康が天下を治めましたが
    それぞれの時代に役割があったように思えます。

  3. スピードで言えば、信長も秀吉をも上回るスピード感が
    あったように思えます。
    あの時代、スピードこそ優位に立てる最大の要素だったのかもしれません。

    幕末もスピードが最も重要な要素だったのではないでしょうか?

    そして、今の時代もスピードが必要ですね。

  4. 信長の時代が続けば、最強の軍隊をもつ大国に日本はなっていた
    と言われます。

    海外との貿易も盛んに行い商売人を多く育てた時代でもあります。
    そして、武器も最高の銃や大砲を自ら考案したとも言われます。

    なんせアイデアマンであり、スピードもすごかった。

    やはり、ここで言えるのは
    アイデア + 人 + 準備 + スピード

    どれが欠けてもいけないのではないかと・・・。

  5. アイデアとスピードも勝敗の要(何を何時)でしょうが、戦略としては、直接対極(東洋哲学に陰の極は陽・陽の極は陰)と有ります。

    21世紀は相対性弁証論の世紀と言われます。

    幾つか例題を披露しますと「信長のスピードは、時代としては勇み足」で有った感があります。
    秀吉の場合は生誕が武士で無い為か、陰と陽の直接対局(敵対大将同志直談判で決着)岡山高松城水攻め時も・小田原城攻めの時に、次の対戦相手と目される、伊達政宗に刀を拾って貰うと言う直接信頼関係を作る事で、困難を乗り越えている。

    その事が後に成り、信頼した家康に裏切られ『家康を狸爺と言うのは戦国の世とは言え、時の倫理に反し裏切り行為の代償でしょう』後継者養成が出来無かった要因と思われます。

    明治維新を成し遂げた坂本龍馬の逸話に於いても、片や藩主、片や脱藩素浪人時の倫理に於いては、追討令の対象で有り乍ら、起こり得ないと思われる両極の対面が、倫理違反から始まった江戸幕府に終止符を打つ先駆けと成った事は記録に新しい。

    我が国に連綿と続く(和を以て貴しとする)文化が有ったとは言え、敵対した敵(アメリカ)と(神の身分を捨てた天皇)の直接対峙で無血裏に占領が成された事が、我が国の今日の平和の礎と成って居る。

    21世紀(相対性・陰陽・弁証論)の世界を楽しみましょう。

  6. 戦はいやだな。
    たしかにヒトラーとかも優秀なリーダーなのかもしれませんね。

  7. この場合、秀吉の賛否は脇へ置きましょう。私も秀吉をお手本にする気はありません。
    しかし、スピードはすべての面で大事だと思います。
    もっと身近な例でいえば、返信です。手紙でもメールでもコメントでも、返信のスピードに誠意を感じます。
    即日返信する人はやる気と思いを感じます。
    5日後にようやく返信する人。私なら「この人にとって自分は後回しの人間なんだろう」と取ります。
    打てば響くような反応をする人を見ると、「さすが」と感じます。

  8. 状況に応じたスピードと決断と行動!

    責任の無いものに出来ないのが決断!

    全てが自分の責任の結果であることを認識すると

    全体的なことが見えてくる

    たとえ従業員であっても経営責任者だったらどうするという考え方に

    立脚していれば、企業経営者の意図することは伝わるし

    行動スピードも迅速であろう!

    企業でのトップの意思伝達能力も

    即時に反映され対応もきちんとしたものになると思う!

    怠りがあっては、出来ないことだ!

    日頃から、どのようにすればこうなれるのか

    有事を想定した考えをもって行動することから出来ることではないだろうか?

    チャンスをものにするとは、こういうことなのだろう!

  9. 『成功するリーダーは、ときに何かを成し遂げるため
    たとえ、準備が完全にできていなくても…
    優先順位を見極め迅速に行動することが必要です…。』

    確かに、そうです~ネ!

    事に応じ~モノに応じ~タイミングが必要ならば…
    ビジネス上では、誰しも時間が一番貴重ですが…。
    これは、私にとりましても…常に認識しているつもり?です。

    ここ三年間のネガティブなる問題にて、以前より”苦労…”
    ついつい”慎重派…?”になりやすいのかしら~~んと!
    仮に、チャンス到来の時…
    ”スピード”これは、必要でしょう…が?

    それには、『判断力・決断力』が…
    今!!当にそれを養いつつ~~^^皆さんのブログで随分
    得るものが…

    ありがとうございます…。 『気づき』   (SAKURA…)

  10. とても参考になりました。人にはそれぞれフォーカスの仕方がありますね!

  11. 自分は秀吉肯定派です。もっとも好きな武将です。千載一隅のチャンスで巨万の富を得るチャンス
    1億円なら今は結構チャンスが多々ありそれをものにするのは見つけるセンスとタイミングを逃さないスピード。幸福の女神は前髪のみというのは正論で大きなチャンスは本当に一瞬で即決しなければ間に合わない。秀吉や源義経は天才肌であるがゆえに長期的な成功には恵まれなかったけれども
    独立起業して成功するためにはそれくらいのセンスが必要であると思っています。人が思っている常識とは意外と間違っていることも多い。空手の入門時に全日本選手権で優勝した先輩に白帯がノックアウトされまくっていたが、みんな後ろに下がっていた。自分は人と違い懐に入りインファイトに持ち込んで
    五分に打ち合った。骨太ということもあるが、大型犬にかまれた場合もたいていの人はひっぱってはがそうとするが、自分なら逆に腕を押し込んで「上等だ。どうせなら食いちぎってみろ!」と腕を押し込んでやるとてこの原理と同じで相手は力が入らないし、呼吸も苦しくなってはずすものだ。常識にとらわれて
    いるなら自分で商売したって成功しないよ。

  12. 確かに決断・行動が早い人は、
    結果を出すのも早いから
    大成している割合が高いですね

    私自身まだまだスピードが
    遅いから
    もっともっと早く行動できるように
    意識しようと思います

    ありがとうございます

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