天下三分の計

西暦207年
中国でのこと。

一人の男が名もなき青年の家を
訪問しました。

男の名は劉備。
一応はそれなりの身分にあって
とあるお城の城主をしていました。

そして、劉備が訪れた
青年の名前は孔明と言いました。

劉備は孔明が不世出の天才である
と聞きつけ彼を召し抱えようとしたのです。

ところが、孔明は劉備の要請を
断ってしまいます。

そしてそのお詫びに
あるアイディアを劉備に授けたのでした。

戦略的アイディア

当時の劉備は天下統一という大志を
抱きつつも、何年間もただの一城主で
しかも客将という単なる居候の身分でした。

一言で言うと、
自分が今、何をすればいいかわからない
という状態だったのです。

孔明はそんな劉備に中国全土を見渡して
大きな絵を描きました。

北の魏は強大すぎて
まともに対抗するのは到底不可能。

さらに東の呉も名君が治めていて
これに敵対するのも得策でない。

しかし、南と西に目を向けると
領地は広いが凡庸な君主ばかりで
十分に攻略できる可能性がある。

従って、南と西を勢力下に置いて
この2大勢力に対抗できる地盤を築き
魏と呉に対抗していきましょうと。

有名な天下三分の計です。

ここに至って、劉備は
自分の進むべき方向がしっかり定まり
見事にアイディア通り南と西を攻略します。

そして、その後、蜀の国を興し
三国志という物語は完成します。

平凡な1君主に過ぎない劉備を
三大勢力の1つに押し上げたのは
たった1つのアイディアだったのです。

伝わるアイディア

孔明のアイディアはとても分かりやすく
しかも具体的で劉備に実現可能なものでした。

また、三大勢力にのし上がるという目標は
君主の劉備だけでなく
彼の部下にも夢と希望を与え
彼らが積極的に動く原動力となったのです。

アメリカで150万部売れた
「アイデアのちから」という本によると
アイディアが成功するのは

1.単純明快である
2.意外性がある
3.具体的である
4.信頼性がある
5.感情に訴える
6.物語性がある

という6要素を満たしているかどうか
なんだそうです。

これらを満たしているアイディアは
人に伝わり記憶に焼き付き
周りの人を動かすことが可能です。

どんなに優れたアイディアでも
それが難解だったり具体性に乏しい場合、
実現不可能なアイディアとして
いつしか忘れられてしまいます。

また、感情に訴えたり物語性があれば
周りの人を惹きつけることができず、
他人の協力を得ることができません。

天下三分の計はこれらの要素が見事に
凝縮されたアイディアだったのです。

大きく考える

孔明は中国全土を大きく捉えて
広い視野で大きく戦略的に考えて
天下三分の計のアイディアを生み出しました。

私たちは普段仕事をしていると
仕事を改善するアイディアが
どんどんと湧いてきます。

しかし、こういったアイディアは
えてして目の前の問題を解決する
狭い視点のアイディアになりがちです。

もちろんこういったアイディアが悪い
というわけではありませんし、
仕事をよりよくするために必要な事です。

しかし、リーダーが考えるべきは
天下三分の計のようなもっともっと
広い視点の戦略的なアイディアです。

7つの習慣によるとリーダーとは
ジャングルの中で一番高い木に登って
全体を見渡して、下に向かって
「このジャングルは違うぞ」と叫ぶ人である。
というふうに書かれています。

つまり、リーダーとは
こうした広い視点のアイディアを生み
周りの人を動かしドラスティックな変化を
生み出す人のことです。

目の前の小さなことばかり
解決しようとしていませんか?

もし、何かに行き詰まっているなら
孔明のように視野を広くして
大きく物事を考えてみると
いいアイディアが浮かんでくるかもしれません。

ー森兼

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9 thoughts on “天下三分の計

  1. 天下三分の計と六つのポイントの六番、物語性というのが周りを巻き込むアイデアとして参考になりました。ありがとうございます!

  2. 視点の置き方とアイディアが如何に大切か思い知らされる史実ですね。実行できた劉備もすごい人だったのでしょう。日本では織田信長も下級の意見を取り上げたのは当時としては画期的なもので宣教師の影響もあったのではないかと思います。欧米ではアイディアの大切さが
    よく理解されている半面、日本ではあまり評価されないできましたがこれからはネットの世界から逆流して新しいアイディアを発信していきたいものですね。

  3. 零細規模の経営を20年続けていますが、自宅で考えるときはわりと大局的に考えてますが、会社のデスクに座ると目の前のことしか考えていない自分がいます。情けない!反省です(^-^。

  4. 私は、早くも3次元空間を超えた世界を考えています
    但し、その世界へ行くことは現状では不可能でしょう
    でも、その世界にはだれかいるはずです
    その世界から招いてもらうことは可能でしょう
    それほどの世界であれば、細部まで見ることは可能でしょう
    時間軸が違うのですから、可能なんです
    人類はまもなく滅亡します
    その時に、その世界にいけばいいのです
    仮に駄目でもhyper human beingになればいいのです
    原稿の人類社会に目を向けていても先は見えています
    行き詰まるのは確実ですから

  5. 確かにリーダーは広く先を見る力が
    必要だと実感しています

    そのためにも最終的には、
    どのように在りたいのかということを
    明確にしておかなければ、
    ダメだとも感じています

    チームメンバーを統率するものとして
    広く先を見渡せる視点を持っていこうと
    思います

    ありがとうございます

  6. 本日は東京電力の株主総会に出席してきました。

    真のリーダーシップを考えさせられた一日でした。

    そして今、このコラムを読んで、

    アイディアの大切さについても考えさせられました。

    本当に今の世の中には、

    真のリーダーが強く求められていると感じます。

  7. お世話になります

    無理は人が作るものって何かで聞いたことがあります

    最初からあきらめない

    視野を広く持って取り組んで行く

    道はあるんですね

  8. 『リーダーとは…広い視点のアイディアを生み、周りの人を動かし…
    ドラスティックな変化を、生み出す人のことです…。』
    『目の前の小さなことばかり…解決しようとしていませんか?』

    本日のマガジン…中国の有名な『三国志…』
    拝読しながら…賛同!!

    あくまでも『目標設定…』をしっかり見極め…
    それに必要な『プロセス=アイデア』これを再チェツク!!
    1.単純明快である
    2.意外性がある
    3.具体的である
    4.信頼性がある
    5.感情に訴える
    6.物語性がある
    これに基ずき…もう一度…認識をもちまして行動^^

    本日の『アドバイス』 ありがとうございます…。(SAKURA…)

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