守りたいもの

エステル

エステルという女性をご存じでしょうか。
ペルシャ王の后となった女性であり、
民族を救う為に活躍したとされる女性です。

ペルシャ王アハシュエロスには、ワシテという后がいました。
ある宴の日、ワシテは王に呼ばれておりながら、
それを拒みました。そうして、王の怒りを買います。

ワシテは王妃の地位を失いました。

後にアハシュエロスは新しい王妃を選びだします。
それがエステルです。

しかし、エステルには秘密がありました。
それは、自分がユダヤ人であることです。
ペルシャの王室では、ユダヤ人に対する偏見があるのでした。

首相、ハマン

アハシュエロスの宮殿では、ハマンという人物が
存在感を示すようになりました。

ハマンが首相になったある時、
エステルの養父モルデガイはハマンの怒りを買いました。
ハマンに身を屈めること(礼)を拒んだ為でした。

ハマンは激怒します。

モルデガイ1人を抹殺するだけでは飽き足らない。
その民族すべてを滅ぼそう。

その民族は王の法令に従わない危険な反逆者である。
ハマンはそのように王に言い、ユダヤ人殺戮の許可を得ます。

エステルの決断

モルデガイは、エステルに王への執り成しを求めます。
しかしエステルは恐れました。

招かれてもいないのに、王の前へ出たならば死刑になる。

モルデガイはエステルを説得します。
「もしエステルが行動しないならば、
いったん迫害の波が押し寄せたら、
王妃といえどもそれを免れることはできないだろう」

エステルは決意を固めました。
「もし滅びうせなければならないのでしたら、
私は必ず滅びうせます」

王妃として最も美しい装いをし、
王の心をひくよう最善を尽くしたうえで、
エステルは出かけて行きました。

呼んでもいないのに現れたエステルに対し、
王は驚いたに違いありません。
しかし、エステルは許されました。

そしてハマンこそ、陰謀を企てる張本人であることを、
王に訴えるのです。

そうして、ハマンは自ら用意した柱にかけられ、
ハマンの息子10人も一緒に処刑されました。

原因と結果

王家、陰謀、殺戮。
様々な要因のからまる複雑なストーリー。
ここから様々なものが見えてきます。

・人種差別

・モルデガイの頑なな意思

・ハマンの残虐性

・エステルの勇敢さ

エステルは勇敢で素晴らしい女性だ。
単純に読みとればそうなります。
しかし別の観点から見てみると、次のようにも考えられます。

モルデガイ:
民族を危険にさらしてまで、自分の意思を貫く必要があったのか。

ハマン:
一人を処罰すれば、他の者が立ちあがる。それを恐れた。
また、国をまとめ上げる上で権威を見せつける必要があった。

エステル:
自分の命をかけ、自身と民族を守り抜く。
代わりに、ハマンの命、そして、その子供達の命までも奪うことになる。

アハシュエロス:
人の意見にふらふら揺れ動かされている。

自分の利益の影には、誰かの不利益が隠されている。
これはささいな日常にもよくありうる現象です。

あなたは、この物語、どのように読みとりますか?

中藤里美

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11 thoughts on “守りたいもの

  1. 「自分の利益の影には、誰かの不利益が隠されている」
    そうでしょうか?
    この思考を、5年前の私は持っていました。
    でも、ここで学んだ限りでは、この思考は間違っていると思います。どうしても違和感がぬぐいされません。
    『利益』とは何でしょう?
    自分が何かを手に入れることで、それを提供し富を得た者がいる、ということです。
    自分の利益が、誰かの不利益になるのではなく、不利益と思った人本人の解釈によるものではないでしょうか?
    誰かの利益はまわりまわって自分の利益となる。
    入ってくるのが先ではなく、出す方が先だから入ってきている!という考え方です。
    それに、誰かの利益により、その時点での不利益が生じたとしても、それは自分側の読みの甘さではないか?それよりも、相手への賞賛に値するのでは?
    もちろん、ヨミには運などもありますから、自分の責任として引き受けるには酷なところもあるでしょう。
    でも、それを受け入れ素早い方向転換ができた人には、新たな利益のチャンスが訪れるのではないでしょうか?
    不利益を認めるということは、その時点で諦めたことになると思います。
    一時的な不利益を失敗とするなら、それは、テスト結果のデータとしてのマイナスなだけ。
    次の勝負でプラスになるための一結果としてとらえれば、自分の利益により、誰かが不利益となる考え方にはなりません。
    これにより、『不利益』と認め行動をやめた時点で負けということ!この状態を本人が選んだとき「不利益」という事実が突きつけられる。
    だから、自分が考えておかなければならないことは、他人がどうその人の行動を選択しようと気にすることではなく、自分の利益を最大限あげて、大切な人達へ還元することに集中した方がいいのでしょうね。
    面白いことに気づかせていただきました。
    ありがとうございました。

  2. 面白い記事をありがとうございます。

    私にとっては“人は自分の為に動く”ということを再認識させてもらえる内容でした。

    確か,子ども向けの話では,“勇気ある女王エステル”として紹介されているお話だったと思います。
    王妃という立場でありながら民族を救った英雄として描かれている物語なのですが,
    改めて今回,紹介されているお話を読んでみて,それぞれの登場人物が,“自分の利益の為に行動している”と感じしました。

    そして,それをうまく利用して相手を操作しているとも。

    これは,相手を説得する時の鉄則でもあるのですね。

    まず,主人公の王妃エステルは養父モルデカイの“あなたは王宮にいるから難を逃れられると思ってはならない。”という言葉で決意する訳ですが,今回の記事の中では触れられていない部分で“あなた(エステル)がこういう時に決断をしないなら,選民(神によって選ばれた民族)である私たちユダヤ民族は別の方法によって助けられるがあなたは難を逃れられないだろう”という様な話をモルデカイはしています。

    つまり,エステルがアハシュエロス王に進言すれば,民族を救った英雄になれるが,口をつぐめば,ハマンの陰謀で殺されるだろう。さて,どっちを選ぶ。
    という選択を迫られた訳です。

    ということで,エステルの勇気ある決断は,自分自身を救う為とも取れなくはない。

    モルデカイの立場は,多神教の日本人には理解しづらい神に選ばれた民族としての誇りみたいな背景があるので,その行動を日本人的な価値観で理解しようとするのには多少の無理があるのではないかと感じます。
    自分の意思を貫いたという日本人の感覚とはたぶん違う筈なので。
    彼に限らず,ユダヤ人の選民としての誇りを持つ者たちは,神以外の人物を崇めたりはしない。そんなことは考えられないのですから。

    彼は,自分が原因となって招いた民族の危機を王妃エステルを利用して解決しているのですから,ある意味民族を救った英雄は彼とも言えるのです。
    先に挙げた通りで,その彼が原因で招いた民族危機は,ユダヤ民族の誇りに起因していると考えればですが。

    ハマンは直接的なのでとても分かり易い。
    自分が偉くなりたい。
    自分の気に入らないものは排除したい。
    そういう行動に見えますから。

    アハシュエロス王は,自分の思い通りにならないワシテ王妃の代わりに美しい別の女性エステルを王妃に迎え入れているのですから,この部分は男の本能のままの行動とも見えます。

    それで,このアハシュエロス王とハマンが自分の利益・欲望の為に行動しているのは比較的分かり易い。

    王妃エステルも自分の命を救う為の行動と見れば,自分の為に行動していると捉えられる。

    少し分かりづらいのがモルデカイ。

    ということになるのではないかと私は思います。

    ただ,この物語に限らず,
    「人は自分自身の利益の為に動く」
    この原則は変わらない。

    そして,モルデカイがエステルを説得した時や,今回の記事では書かれていない,アハシュエロス王がハマンを優遇していたこと,王妃エステルがアハシュエロス王を利用して民族の危機を救ったことなどを見ると,他の人を自分の思う様に動かす時には必ず,この鉄則が使われている。

    ビジネスでも成功している例を見ると「お客さまが自分の利益の為に動く」という点をうまく利用しているのと同じではないかと。

    次回の記事も期待しつつ。
    楽しいお話をありがとうございます。

  3. 利己主義な人、愛他主義な人、良きにも悪しきにも他人や自然に与えた結果が自分に戻って来るそうです。
    また、波動の周波数が共鳴し、同じ種類の人も集まるようです。
    全ては自分の捉え方、考え方次第で因果応報の法則は成り立っていると感じます。

    嫌なことがあっても良きプラスな思考で私もいようと考えています。

  4. 子どもたちの生活を守るために、夫との離婚を考えています。

    一方で、夫を切ることに罪悪感も感じています。
    身近な人たちから、そしりを受けるだろうことも恐れています。

    たとえ、私がどう言われようとも守りたいものがある。
    あとは、決断する勇気だけ。

    >自分の利益の影には、誰かの不利益が隠されている。
    >これはささいな日常にもよくありうる現象です。
    このコメントに、救われました。

  5. 事実は1つでも解釈は何万通りもあるって話ですね。皆さんのコメントも色々でなるほどなぁと思いました。お話を読んでの感想は、時代背景的にそんな常識に駆られたきつい時代だったのかなとまず想像しました。その結果、今の時代に感謝だなって思いました。今は小さなミスが即、生死に繋がらないやり直しがきく時代(逆に全部チャンスでないとダメって常識が蔓延している気もしますが)、視野を広く持ち、向上心と貢献心を大切にし、もっと成長していきたいなと感じました。後、『他人の不利益』ですが、不利益になるともならないとも、こちらが決めるのは変ですね。とは言え、相手にとってもそれが最終的にどうなるかは分からないのであれば、どちらの立場に立ったとしても、その結果を今後にどう活かすかってところにフォーカスしたいなと思いました。

  6. 江ステルといえば、明石家さんま(杉本高文)の祖母の名前を思い出しました
    この話、昔は馬鹿ですね
    如何にwin-winでいるかを考えなければもう立ちゆかなくなるのに
    2008年6月にそれを感じました
    それから、指導者たる者、根性論では大成しないことも学びました
    2006年1月のことです
    これからの難局、人類の力を結集しなければ立ちゆかなくなるでしょう
    でも、特権階級が利権のために阻む
    なので、2011年革命が必要です
    特権階級を殲滅することが肝要でしょう
    既にアラブで始まり、いよいよ、欧州、アメリカでもその狼煙が上がっており、いよいよ、特権階級を殲滅しに掛かるでしょう
    日本でも、穀潰しの役人、議員、天下り、東電、JALなどは葬り去られるときがやってきたようです
    そして、その先にあるのは、人類滅亡です
    でも、群衆には失うものは何もないので、そのほうが幸福なのです
    2009年から言い続けて、漸く、そのステージが見えてきた感じです

  7. 芸能界もおしまいですね
    2009年8月の押尾事件のときにそうなるべきでしたが、2年も延命されてしまいました
    相撲協会でも2010年7月に取り潰しておけばよかったのです
    それを1年半近くも延命したばっかりに
    悪しき者を全て葬り去る
    それが2011年に必要なことです

  8. それはさておき、トップは揺るぎない決断力が必要で、絶対に信頼の置ける者を側に置いておく必要があります
    革命の理念はよくても、2人目は必ず邪な人間になる
    ロシア革命がそれを証明していますね
    公務員天国が国を滅ぼすことをローマ帝国が証明しているのと同じように、現在、世界中の国家が同じ愚を犯しています
    人類は歴史から何も学んでこなかった
    それは、支配階級と被支配階級が存在する限り無理
    被支配階級と被支配階級がなくなったとき、この話のような悲劇は生まれなくなる
    それには、生活のために仕事をする人間がいなくなることが必要条件となります
    つまり、資産家、何かしらの才能がある存在、研究開発に携わる存在、何かを生み出していける存在のみが子孫を作っていく
    それ以外は子孫を残してはいけない
    必ずや悲劇の種を作るだけになるから
    そのことに関しては、ある意味、私が生きた証拠になるでしょう
    本来、私は生まれてくるべきではなかったということになります
    勿論、99%以上が生まれてくるべきではなかった

  9. 私はハマンのような人間が嫌いであるし、生産的ではない人なので権力を得るにふさわしくないものである半面エステルの勇気に対し敬意を持ちます。中小企業の継承者にはハマンのようなくだらない人間が一部いますが大した組織は作れません。「おれに挨拶がない。」と挨拶をしてもらいたいような人は本人に価値がないからひとから軽く見られて敬意を持たれない。
    自分は逆に学生の頃なら「俺のことを見て、挨拶するより自分が如何に自分の目標に向かって
    競技スポーツなら勝つために練習するか、勉強するなりしたらどうなんだ!」と思っていたし
    会社でも「人のことばかり気にしてごまするより実績を上げるために社内の人間ばかり見ずに
    市場をしっかりみたらどうなんだ!」という不満があります。挨拶が大切だというけどあまり
    挨拶してくる人間の数が多くてついでに世間話までついてくると多くの時間を失う。
    もっと結果を出すために本質を追求しろって思う。自分の価値観ではエステルの行動は自分の家族を守るため自らの身を危険にさらしてまでの勇気ある行動であり目標もしっかりしてるが
    ハマンのような人間は何も生産性がなく、ハマンの身内もろくでもないものが育つ可能性が高く皆死んでしまえというのが本音ですね。世界人口増加傾向が著しく食糧問題も出てくる今は
    正直世間では顰蹙を買う意見でしょうが、ハマンタイプの人間には本音ではこの世から消えて欲しいです。

  10. 現代の黒幕(権力者)はもっとしたたかですよね。悪を遂行しながら、多少の利益も奴隷たちに与えている。自分の悪を決してひけらかさず、正義を主張する。ハマンのような人間は滅ぼしやすいが、本当の悪魔は人知ではどうにもならないようなものです。羊の皮をかぶった狼とといえるでしょう。昔も今も男は女の色気に弱いというのは変わらないようです。イギリスでもカトリックから英国教会に変えたのはヘンリー8世の愛人でしたから。権力の弱みは女かも。

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