後世に残る仕事

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「五重塔」
明治の文豪、幸田露伴の作品です。

「もまれ もまれて九輪はゆらぎ、
頂上の宝珠は空に え読めぬ字を書き、
岩をも転ばすべき風の突っかけきたり、

たてをも貫くべき雨のぶつかりくるたび たわむさま、
木のきしる音、もどるさま、また たわむさま、
きしる音、今にもくつがえらんず様子」

激しいあらしにも倒れなかった、
五重塔の様子を表した描写です。

すさまじく揺れる様子が表現されています。
露伴の文才のすばらしさはもとよりですが、
今回のお話で着目したいのは、

これだけ揺れても倒れない、五重塔の

その見事な技術、職人の腕の高さです。

法隆寺にある五重塔は日本最古の塔として、
ユネスコ世界遺産にも登録されています。

その素材はもちろん「木」、
コンクリートでも、レンガでもありません。
「木」です。

さらに、柱やはりなどに釘は使われておりません。
凸状に作られた突起が、凹状に掘られた穴に差し込まれ、
接合されているのです。(差し込み接合)

また、当然ではありますが、
鉄筋骨格などが使われていたわけでもありません。
「心柱」とよばれる太い一本の木の柱、
これが真ん中に垂直に伸びて塔を支えています。

露伴の文にあるように、塔は激しく揺れます、きしみます。
しかし、倒れません。

木はしなやかに曲がります。
「差し込み接合」によってゆとりをもたせ、
揺れのエネルギーを減らしています。

今でいう「免震構造」になっているのです。

1300年もの長きに渡って立ち続ける五重塔。
あるシュミレーションによると、
マグニチュード8まで耐えることができるとさえいわれます。

これほど高い建築技術が、
1000年以上も昔にあったことにまず驚かされます。

現代のような、複雑な物理学があったわけではありません。
コンピューターもシュミレーションもなく、
質の高い測定器があったわけでもなく。

当時の職人にあったもの、それは、

職人の勘と、腕と、情熱でした。

よいものを残そう。
完璧に仕上げよう。
人の心のよりどころとする為に、
多くの人々が幸せになれるように。

ずっとずっと、想いを伝えていけるように。

魂のこもった仕事をしたのなら、
きっと、いつまでも誰かに受けつがれ、
引きつがれて、
残されていくのでしょう。

中藤里美

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5 thoughts on “後世に残る仕事

  1. お世話になります

    ずーと前に五十塔の題材にした芝居を見たことがあります

    感動したことをいまでも覚えてます

    人間は世のため人のために尽くすような仕事をするものだとおもいます

  2. 今を生きる
    千年前の人々は、今を生きて営みをしていました
    今が出来る事。
    今だからできる事。
    今しか出来ない事。
    それを、世界中の人達と共有する
    人々が営んでいる限り

  3. その昔、人間はコンクリートも鉄も未知の物質時代、自然の中で「木」と出会いました。それは、たわやかで、自然の猛威の中でも耐えるしなやかさを持っている「木」でした。 それは自然と向き合うことしか出来なかった事で 体得したのだと思います。

    今、自然は荒れました。自然を大切にしなくなり 山野に入って自然を慈しむ、山野の清掃をしなくなり「木」を見る事すらしなく、関心を持たなくなった私達。

    人間の知恵は、進化しています。物質的には何でも満たされた時代。
    大切な自然は忘れられています。

    提案します。若者達が、山野清掃義勇隊を結成し 郷土の山野を豊かな資源自然に戻す行動を願っています。政治も若者たちが郷土を愛し、郷土で生活できる様な施策を考えては如何と思います。

    皆さん如何でしょうか。正に芯柱は若者たちの実践力だと思います。

  4. 【日本建築物…】海外にはない良さ…改めまして認識させられる「幸田露伴…言葉」です…。ややもすると…明治時代より西洋文化を取り入れる事に…いえ!西洋文化に追いつこう…?と云うそして追い越そう…そう言う心理的なモノがありますが…自国の『伝統…』に誇りを持てる…その自覚も大切だと思います…。そして…何と申しましても素晴らしい伝統技術…これは後世に残していくべきでしょう~ネ!やはり…今後の社会状況から…「本物…」のみが後世に伝え~受け継がれていく事でしょう…。素敵な【お話…】ありがとうございます…。

  5. 建設業で働いてます。
    現在の建築は、どうもコストと工期が優先されており、じっくり時間をかけて職人が納得できるものを作り上げられる環境にありません。1000年以上しっかり持つ建物を建てたくても、コストと工期の縛りは、非常に大きく、残念に思っています。
    今の建築は、おおむね60年程度で建て替えられることを前提に設計されていることは、一般の方はあまりご存じないのではないでしょうか?

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