足を折られた羊

from 杉本

あるご婦人が、
スイスを旅行した時のことです。

散歩の途中に、
山腹にある羊の囲いの所に来た時、
中を覗いて見ると羊飼いがいて、
彼の周りに沢山の羊がいました。  

ところが一匹の羊が、
群れから離れて、
横に倒れて苦しんでいました。

彼女は羊飼いに、
声をかけました。  

「あの羊はどうして倒れているのですか」  

「あの羊は足が折れているんです」
という答え。  

「どうして足が折れたのですか」
と聞くと、  
「私がわざと折ったのです」
と羊飼いは答えました。  

彼女はびっくりして、
「どうしてそんな可哀想な事をしたのですか」
と尋ねると、
羊飼いは、
その理由を説明してくれました。

「ご婦人、私の羊の中で、
こいつが一番言う事を聞かないんです。

私の声に絶対に従いません。

そして危ない崖の上や、
深い藪の中に、
勝手にどんどん行くんです。

そして自分が行くだけでなく、
他の羊も惑わして、
道連れにしてしまうんです。

だから私は、
この羊の性質を直すために、
この羊の生命を救うために、
この羊の足を折ったんです。

今ではすっかり、
従順な羊になりました。

私の手から餌を食べ、
私の手を舐め、
私に擦り寄って来るんです。

まもなく足も回復するでしょう、
そうしたらこの羊は、
今度は他の羊の模範となるでしょう。

仲間を惑わす代わりに、
迷った仲間を、
連れて戻って来るでしょう。

その時、私がこの羊の足を折った目的は、
達成されるのです。」
          (作者不詳)

私たちは人生で、
何故、この羊のように、
望んでもいない辛い経験を、
しなければならないのでしょうか。  

それは、この羊のように、
私たちを成長させるためです。

辛い経験を通して私たちは、
自分の弱さを自覚して、
克服できたり、
同じ弱さを持っている他の人を、
理解し、助けたりするようになります。  

ところで、その辛い経験によって、
自分が成長したかどうかを、
知ることができるでしょうか。

C.S.ルイスの、
『ナルニア国物語』シリーズの第2巻に、
興味深い話が出て来ます。

ルーシーという登場人物が、
久しぶりにナルニア国に、
戻って来ます。

彼女は、長い間、
ライオンのアスランと、
会っていませんでした。

アスランとの再会は、
すばらしいものとなりました。  

ルーシーはアスランに言います。  

「アスラン、大きくなったのね」  

するとアスランが答えます。  

「ルーシー、それはあなたが成長した証拠。
成長すると私が大きく見えるのだよ」

これは、私たちにも当てはまる真理です。  

私たちが辛い経験に出会って、
それを乗り越えるたびに、
私たちは成長して大きくなった自分を、
実感することができるのです。

育自コンサルタント
−自分を育てるお手伝い−

杉本恵洋(すぎもと しげひろ)  

PS.英語の発音のルールがわかればナルニア物語も
聞こえ方が変わってきますよ

http://www.honjo-e.com/image-phonics/

9 thoughts on “足を折られた羊

  1. 羊にラポールする。アスランは自分の鏡。ということなのですね!足を折られなくても転んで折ってしまうこともあるでしょうし、折りたくなくても、このように誰かに折られてしまうこともあるでしょう。でも、そこで、何かの、誰かのせいにしてしまうと、その時は楽かもしれませんが、後々スッキリせず、いつまでも恨みが残ります。それよりは、その時のその事に対しての恨みは認めてやったとしても、いつまでも引きずらず未来を見て、その時の自分で戦わなければ、生きている幸せの実感が得られませんよね!~成長した自分を知る方法は、しばらく会っていない人に会うことなのですね!そういえば、心当たりがあります(笑)「あれ?この人こんな感じだったかな?」と物足りなさを感じるときもあれば、私の母や師のように、会う度にまたまた遥か彼方を歩んでおられたりして、成長した自分でさえも小さく思えるのです。でも、これって新しい目標ができたことになるので、嬉しいことですよね!モデリングする人がいてくれるほど、成長に楽なことはありません。これからも、いろんなところが折れても修復し、憧れの人達を目指して頑張ります♪

  2. 言うことを聞かないから足を折る・・・ゾッとする話ですね。
    羊の好奇心はもうなくなったのでしょうね。デイリーインスピレーションとは真逆のことを書いているような気がしますが、逆も真なりなのかな。

  3. ここ数日、体調もすぐれず意気消沈していました。自分も痛みながら、それでも困っている人、元気のない人に、できることがあるのだと、ちょっと元気が出ました。大きくなった自分を、私は何で感じるのか?
    楽しみは、とっておきます。

  4. 足を折られた羊が 羊飼いの思う通りの行動にでるか
    私にはわからない。
    きっと、羊飼いの経験からの言葉なんでしょう。
    でも 羊の痛みはわかります。
    囲いの中だけしか知らなければ、それも幸せ。
    今の幸せよりより幸福が囲いの外にあると信ずれば
    この痛みは乗り越えなくてはいけない痛みなんですね。

  5. 痛みや苦労を知らないで、楽しく生きることもできる。若い時はそうでした。
    自分が苦しかった時に励まされたのは、過去に苦労や痛みを経験した先輩達の存在でした。彼らは痛みを忘れた訳でもなく、克服してきた事をひけらかす訳でもなく、人の痛みや苦労をよく理解しています。
    彼らの温かい見守りや支えや励まし、人を見る眼差しは今でも僕を熱くしてくれるし、そんな人間に自分もなりたいと思っています。
    辛い経験は、できたら避けたいけど、今は自分の許容量が大きくなったり成長につながるという風に理解しています。
    (でも羊の話しは、リアルで痛々しいですね(^_^;))

  6. 杉本さん

    いつも心に沁みる良いお話を下さって有難う御座います。
    一昨日、1年半かけてやっと顧客からの発注が貰えるという矢先に、発注先のメーカーから
    この発注が大きくてリスクなので、やっぱりやりたくないというメールが送られて来ました。
    別注、先払い、メーカーにリスクはないですが、あらぬ ゛リスク ” を持ち出されました。
    この顧客との関係は、起業した私にとって見通しの明るい将来と確信していただけに、昨日は力が抜けて、全く悲惨な状態でした。私はこのメーカーとはもうビジネスをしない方向を考えていましたが、でも、彼らの不安を取り除き、一緒に前に進む事に決めました。
    これを乗り越えて、ネガティブに見える事態の裏側にある、ポジティブな結果をこの手で掴もうと決心しました。
    このメーカーにとって私は、この羊だったのだと理解しました。
    決心しました。

  7. どうなんでしょうね、これは…。
    恐れから来る媚び、とはまた違うのでしょうか。
    子どもを躾けるときに、体罰は批判されるけれど、羊と人間は違うということでしょうか。

  8. 例えがよくありません。こうゆうことは書くべきではありませんね。 

  9. ぎんさん、グランママさん、岡本さん、おぐまさんに共感します。
    羊の話、どう解釈するのですか?
    恐ろしいです。
    ナルニア物語は理解できますが。

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