変化への抵抗に対処する

吉永賢一
吉永賢一

吉永賢一です。

「教える」「育てる」というのは、
相手に「変化」を要求することです。

相手の今を否定し、それを「苦しみ」と見なして
自由への階梯があると主張し、
その道を押し付けることになるのです。

私たちの向上は無限なので、
ひとつ進めばまた次があり
歩みを進め続けることになります。

ところが、ある場所に来るまで
この「変化」は歓迎されず、
「今ある場所にとどまりつづけよう」とします。

つまり、「向上」への欲求よりも
「停止」あるいは「後退」「退行」への
欲求の方が強いのです。

「変わる」よりも「世話になっている」方が
ラクであるという考え方をします。

勉強を教える際にも
常にこの問題はついてまわります。

おそらく、子育てにも
ついてまわっているはずです。

そのひとの現段階における「発達課題」を
こなさない習慣を身につけてしまうと、
「抵抗」を武器として向上に抵抗するようになります。

この「抵抗」につかまると
「教える側」の感情に波が出ます。

それは、怒りだったり、
無力感だったり、さまざまです。

感情闘争にまきこまれ、
本来の文脈は失われます。

感情の茂みによって、
先に進むための道が隠されます。

そして、道を示すはずだったのが、
共に迷うのです。

先に進むための道を拒否する
抵抗の武器はさまざまです。

「わかったフリ」などは日常茶飯事ですし、
「バカにしたような視線」も多用されます。
「無表情」もよく使われるでしょう。

発達課題を先回しにしても、年齢の進展によって、
自動的に解消されることは少なく、結局は、
どこかで解決して、先に進まなければなりません。

道を明確にし、それが隠されようとするときには認識し、
心から道が失われることを拒否し、
望ましい心象を保つことを続けねばなりません。

教える側が感情の波を持つならば、
相手に心象をコントロールされてしまったということであり、
そこでは「進むべきすがた」は、こころから失われているはずです。

もはや「伝えたいこと」はこころから失せ、
相手の刺激に翻弄され、
感情に飲み込まれてしまったということです。

「相手を良くしたい」のは、こちらの都合であって、
向こうの都合ではないということを
よくわかりながら、道を保つ必要があります。

相手の主張は
「苦しくていいんだから、放っておいてくれ。
自分のことだから、自分の勝手だろ!」
ということです。

発達課題をこなさないままに、知力が進展すれば、
自己正当化のための大きな理論を
矛盾点があるとしても相手は構築しています。

抵抗に対処しながらその矛盾を指摘する作業を
ひたすら地道に続けることになります。

そして、表面の意識は抵抗を示しますが、
こころの深いところが向上への意欲を
捨てることはありません。

ここを見抜くことは非常に大切で、
「自分にもどうにもならない自分の心」に
苦しめられているそのさらに奥の心を
助け出そうとすることを続けることになります。

表面のこころは「うまくだませる相手」を
軽蔑するという性質を持っています。

抵抗の強さを理解するには
「だますためには、演技でも何でもする。苦しむこともする」
と予期しておいた方が安全です。

「自分でどうにもならない」ようになっているのは、
力が失われているからで、その力を取り戻すための
援助のはたらきかけをしてゆきます。

そして、そもそも自分が自分にだまされないように
自分の行動をみてゆかねばなりません。

強い抵抗は、こちらの考え方を変えようとするので
相手の方が力が強いと、影響を受けてしまって、やられます。

相手が正しい可能性もあるので、
もちろん再検討は必要ですが、
何を基準とするのか、常に問われ続けます。

ー吉永賢一

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6 thoughts on “変化への抵抗に対処する

  1. 深い話題ですよね…
    相手に変化を求めるのは本当に難しく、相手なりの論理があって反発し、矛盾にぶつかったら、全てを放り投げて、関係を断つことも出来る…
    世の中の厳しさを知っている人は、逆に自分をだまし続けることも出来るかも…
    相手を否定せず、相手を変えようとするのではなく、自分の心をオープンにし、寄り添い続けてゆくのは、一対一の関係でも中々出来ない事だと思います。
    家族やグループ、会社の組織ともなると、この考えを理解・共有できない人の言動が抵抗を一層大きなものにしてしまう事も…
    一人でやり続けるのはだんだん辛くなってしまう…

    このことを理解・共有できる友達・仲間が出来るのはとても「ありがたい」と感じています。

  2. はじめまして。初のコメントです。
    吉永さんや、このネクストリーダーで毎日配信されているものを見ていますが、今度はコメントという行動を起こしてみようと思い、コメントをしてみます。

    変化の抵抗。
    これに対処して成長させるには、自分の「教えたい」「育てたい」という意思を強く持ち、相手に気づきの場を地道に提供し続けるということをしなくてはならないのではないかと思います。

    私は現在大学4年で、2年間、高校生の勉強サポートという形のチューターをやっていました。
    そこで、この吉永さんが言う、「変化の抵抗」にあいました。嘘をついたり、演技をしたり。自分を正当化する。私自身も高校時代そうしてきた自分がいます。
    私自身が、変化の抵抗をなくし、少しずつでも成長できているのは、自分で気づかせるよう教え続けてくれた人々のおかげだと思っております。他の人が地道に教え続けても、自分が気づかなければ、抵抗はし続けるように思います。気づきの場を与え続けることによって、自分で気づく機会をつくる、そこで自分で気づいてもらう。そうすることによって、変化の抵抗がなくなっていくのではないかと思いました。
    でも、抵抗に対処するのが簡単ではないんですよね。相手が本当に強い抵抗だと、自分もやられてしまう。本当にその通りだと思います。
    だからこそ自分の意思を強く持っていかなくてはならないな、と思いました。

  3. 遠藤さん、大学4年生ですごいなぁと感心してます。私など人生⚪⚪年、生きてきてやっと気付いたくらいです。相手の深層の心に信頼する…本当に難しいですが、自分の事を考えれば、抵抗しつつも自分を信頼してくれ、という気持ちが本音であることに気付きます。まっ、これは甘えなんでしょうが。人間誰しも、素の自分を受けとめてほしいという気持ちがあるんでしょうね。

  4. > そして、表面の意識は抵抗を示しますが、
    > こころの深いところが向上への意欲を捨てることはありません。
    ↑ 相手のこの気持ちを信じることが、私にとっては難しいです。
    その結果、感情の波に翻弄され、共に迷い、人間嫌いになってしまいます。
    でも、こんなにわかりやすく説明していただいて、スッキリしました。
    勇気をもって、人の深いところの向上心を信じて、関わっていこうと思いました。
    ありがとうございます。

      

  5. 為になる話でした。
    私にとって、吉永さんの話は、幾度と良い後押しとなっています。
    今回も、ありがとうございました。

  6. > 教える側が感情の波を持つならば、
    >相手に心象をコントロールされてしまったということであり、
    >そこでは「進むべきすがた」は、こころから失われているはずです。
    確かに。昨日、ちょうどそんな場面がありました。

    >「相手を良くしたい」のは、こちらの都合であって、
    >向こうの都合ではないということを
    > よくわかりながら、道を保つ必要があります。
    そうですね。こちらの都合。。。
    それをわかりつつ、道を保つ。
    新たな認識です。
    試してみます。

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