大学受験界の話し

吉永賢一

吉永賢一です。

ぼくは「東京大学医学部家庭教師研究会」
というものを運営しています。

そこで理IIIの先生や、東大医学部医学科の先生
(大学から見れば学生)を、家庭教師の先生として
ご紹介しているのは、

「理IIIに合格しているという時点で、
ある程度の能力が担保されている」

と思うからです。

「勉強ができる人は、勉強ができない人の気持ちがわからない、
だから、勉強できる人は教えるのに向かない」

という議論もありますが、
それに対してぼくは真っ向から反対です。

・自身が勉強ができる

ことに加え、

・教え方

のスキルを持っている先生が良い先生だと考えています。

「勉強ができない先生」に教わったところで、
できるようになるとは、ぼくには思えません。

そういうことを主張する人は、
「勉強があまりできなかった人」を先生として
抱えている団体に関連していることが多く、

経済的利益のために、いい加減な議論を
行っているように感じます。

そして、そういう人の方が人数として多いので
(なぜなら、「できる人」は少数)
ぼくたちからすると、

「おかしい話」

がむしろ支配的な言説として大学受験界では
流通している。

(もちろん、そのような話の方が、
多くの人に共感されやすいという面も
あると思います。)

ぼくは、もはや業界には失望しているので、
業界とは距離を置こう、あるいは、引退しようと
考えているくらいです。

まともな話(とぼくが思うこと)について、
「まとも」と同意してもらえず、

「それが、なぜまともなのか」

について、わざわざ説得したりするようなことには、
もう疲れました。

なぜ疲れるかと言えば、不毛だと感じたからです。

本当のことを求めて話をしてゆくのではなく、
自己の立場を守るために話す人と話しても、
ぼくの言葉も空回りするだけです。

それだったら、(業界に関わるのではなく)
はじめから、ぼくが感じている問題意識をある程度
共有してくれる人たちと、一緒に前に進む方がいい。

そう判断して、こうやってメールを
書いたりしているわけです。

なぜ、学問を教えるのか。

あるいは、その入門を教えるのか。

それは、そのようにして学ぶことが、
その人の人生を拓く上で重要だと信じるからであり、

高学歴と生涯賃金の上昇には相関性が見られるにせよ、
そのような効果は、あくまでも副次的なものです。

結果としてまず重要なのは、

認識能力と判断能力が高まること

にあると考えています。

そして、さらに勉強を続けてゆくと、
より高次の成果も出てくると思いますが、

まずは、認識能力と判断能力を高めることに
集中するのが良いと思います。

基礎的な知識を持たなければ、
わけのわからない話を信じ込んでしまったり、

「現実」に照応していない認識や判断を
行いやすくなります。

生涯賃金の上昇幅の期待値よりも安い出費であれば、
投資として効率が良いという側面を
否定はしないのですが、
それはあくまでも副次的なものです。

良いものには、良いものがおまけとしてついてくるという
類いの話だと思うのです。

ー吉永賢一

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3 thoughts on “大学受験界の話し

  1. 現在会社員です。私はそれほど優秀ではありませんでしたが、吉永さんと同意見です。教え方にも、オリジナルで工夫をした効率の良い指導法や、相手の弱点を瞬時に把握して そこを丁寧かつその人にわかる形で教えられるスキルが、教わる側の隠れた能力を無理なく引き出し伸ばすと考えます。ただ、ひとりだけ私自身諦めてしまった子がいました。本当に本当に出来ない人ってのもいますよね。私が家庭教師をしていたのは随分前ですが、ひとりだけ本当にできない高校生男子がいました。その男の子は、まず勉強というもの以前に、ひとの言葉を聞いてその言葉を即座に正しく理解するという能力が欠如しているように思えました。それがテストの応用問題にまで大きく響いているのではないかと感じずにいられませんでした。体つきは貧弱で、いつも眠そうで、何事にも興味が無く、集中力もやる気も失せているいるといった感じでした。それは、育ってきた家庭環境?親の過保護?さらには、欠如している部分は遺伝的なものかな?とまで考え込んでしまうほどでした。今回の吉永さんのご意見を拝読しながら、あのときだけは本当にお手上げって感じだったことを思い出しました。

  2. 家庭教師をしていた時、前の先生の引継ぎで教えたことがあって、中一の英作文のお手本を書いてあったのが、思いっきり間違っていたのを見て唖然としたことがあります。
    聞いたこともない無名の大学出身の先生でした。
    やはり、勉強を教える人は勉強が得意だった人でないと難しいと思います。
    私は、名の知れた大学出身と言っても私立出身だったのでこれだと生徒を教えるのに限界があると思い今は家庭教師の仕事をしていません。
    東大生や、地方なら国立大学の優秀な学生さんがたくさん家庭教師の仕事をされることをねがうばかりです。

  3. 自分の業界でも(多分どの業界も)ちゃんと能力のある人が教えているわけでもないことにずっと疑問を持っています。吉永様のお考えにとても共感させていただきます。

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